劇団四季「ノートルダムの鐘」に涙。
劇団四季「ノートルダムの鐘」感想
先日、心に栄養を補充すべく劇団四季ミュージカル「ノートルダムの鐘」を観劇してきました。
悲劇の愛憎物語なんですが、夢のような時間を過ごせましたよ。
◎目次
期待値は10点満点中5点でした。
ディズニーのアニメにもなっているお話ですが、絵を見たことがあるだけでストーリーは知りませんでした。
それでも興味を持ったきっかけはテーマ曲です。
昔ピアノで弾いたことがあり、その重厚なメロディーが好きだったので見に行くことにしました。
日本での公演は昨年の12月からということで予約段階では前評判は全くなし。
ポスターの鐘の絵に物語性を感じ、静かな期待感を抱きながら公演日を待っていました。
四季、お初です。
実は今回が初の劇団四季でした。
少し緊張しつつ会場に入ると、舞台は思っていたよりもこじんまりした印象。
ですが、組まれたセットと微かな照明の光を見て一気に期待感が高まりました。
そして始まる歌と踊り。
すごく躍動感のある舞台でした。
教会のシーンでは存在感のある大きな鐘が6つも。
椅子や柵などを動かしてなされる場面転換もすごくテンポがよく、鐘突き堂までも前後から見せていて迫力がありました。
ジプシーは火花を散らして姿を消したり、松明は本物?
揺らめく布が舞台一面に広がる様も圧巻でした。
ステンドグラスの照明などの静かな場面も印象的でしたね。
原作、アニメとは異なる箇所もあるらしいストーリー
舞台は中世のパリにあるノートルダム大聖堂。
主人公のカジモドは醜い顔や障害といった宿命を背負い、親代わりの聖職者フロローに支配され抑圧されながらも自分の世界をしっかり生きている青年。
ジプシーのエスメラルダと出会い恋に落ちますが、時を同じくしてフロローと警備隊長のフィーバスもまたエスメラルダに心を奪われます。
美人に弱い男達とモテモテの美人。
そして美人が恋をするのは、ヘラクレスのような頑強で美しい外見を持ち、戦地での辛い体験に疲れ女に救いを求めている男フィーバス。
これはもう自然の摂理ですね。
物語を引っ張っていくのはフロローの身勝手さ。
自分の愛情を受け入れてもらえなかったがために暴走し、自分の意に反する者たちを破滅させる怪物となっていきます。
外見や身分によって人を差別したり愛したりする。
成就しない愛を憎しみに変える者もいれば友情に変える者もいる。
そんな人間の行いや感情から、何が人を人間にし、何が人を怪物にするのかを問いかける作品になっています。
役者さんについて
圧倒される歌唱力と踊り、曲芸師並の動き
ミュージカルですから美声揃いなんだとは思っていましたが、役者さんの声にハリと厚みがあって心にすとーんと気持ちのいいほど入ってくるんですね。
はっきりとマイクを通した声であることはわかるんですが、どのように音を拾っているんでしょうか。
奥に控えている歌い手さんや石像たちの歌も印象的でした。
石像と町人は同じ役者さんがやられているということに気付いたときはちょっと嬉しかったです。
踊りも激しくしなやかで見ていて楽しかったです。
ジプシーのタップダンスのような踊りは足がもつれないのが不思議なくらいのテンポの良さ。
見ている私も踊りたくなりました。
そして所々で見せる「そんなことして大丈夫?」と心配になるほどのアクロバティックな動き。
カジモドが軽々と柱を登ったり、柵の上を歩いたりする度にハラハラしました。
奈落に落ちたかと思ったら一瞬で2階にいた場面があって、見落としていただけかもしれませんが、瞬間移動したかと思いました。
感情の見える演技
フランス原作なので仕方ないですがカタカナの名前はやっぱり覚えにくいですね。
カジモドなんて日本語のように捉えられなくもないですが上演中に覚えられず。
名前は全然入ってきませんでしたが演技には引き込まれました。
2階席で見ていましたがどの役者さんも心の動きが遠目にもはっきりとわかる演技で、一人一人の感情が響いてきました。
クライマックスに差しかかる頃には目や鼻からの涙をぐっと堪えていたんですが、近くの席の人が明らかに泣いて鼻をすすっているのが聞こえてきて、それにつられて限界がきてしまいました。
総評、10点満点!
今回が初めての四季でしたがもう一度見たくなりました!
公演時間が長いのでもう所々記憶は薄れていますが、濃密な時間を過ごしたことは確かです。
この作品にすごく愛着が湧きました。
前半は1時間半ほどですがあっという間で、力を入れて見入ってしまいました。
中弛みもなく心地よく楽しめましたよ。
休憩を挟んだ後半の1時間も最後まで魅せられました。
ストーリーはほぼ音楽に合わせて展開していくので間違えることもできないし、2時間半もの間、表現し続けるなんてほんと尊敬します。
興奮冷めやらぬとはこのことで、原作、アニメも見てみたくなりました。
私は教訓を学べたか?
いい芝居には感情移入し過ぎてしまいます。
醜い顔の役ということで終始顔を歪めていたカジモド役の海宝直人さん。
カーテンコールでやっと顔がはっきり見えましたがイケメンですね〜。
悲劇を見たあとの最後の感想がこんな軽くて恐縮です。。
カーテンコールはこれでもかっていうくらいやっていただけて大満足でした。
海宝さんとフロロー役の芝さんは最後に抱擁されていて観客を沸かせていました。
やっぱりイケメン!
ミーハー心丸出しですが、欲望にのまれないようにしたいものです。
いい意味でどっぷりと疲れた夜でした。